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おとなの絵本クラブ

大人目線で楽しむ絵本や児童書の記録。調布市・つつじヶ丘の古民家「もえぎ家」を拠点に、絵本を読み合い、語り合う会を開催しています。

寒い日はいそいそと。

風が冷たくなってきたなーと思うと、せっせと作りたくなる。豚汁、けんちん汁、粕汁、クリームシチュー、ボルシチ…具がたっぷり入って、それだけで一品になるような汁物たち。

特に豚汁は夫の大好物とあって、しょっちゅう作る。起きた時に、寒いなぁ食べたいなぁと思ったらいつでも作れるようにしておきたい。だからこの季節はたいてい、必要な食材を冷蔵庫にスタンバイさせている。

代表選手は、豚バラ肉、白菜、ネギ、ごぼう、大根、人参、こんにゃく、豆腐、油揚げ、あと生姜は千切りとすりおろしをたっぷり。たまにきのこ色々、干し野菜、レンコン、白菜の代わりに玉ねぎやキャベツなんかも入れたりする。女としては、里芋、さつまいもを入れたいところだけれど、男の人はあまり好まないらしい。「どんどん甘みが抜けるし、汁がどろっとしてくるから」だって。まあわからなくもない。寒い寒いとぶーぶー言いながらも、いつも豚汁の食材を切る時は、「ああ、大好きな食材がそろう冬っていいなあ」と思う。

お椀によそったら、青ネギ、カブの葉や大根の葉の青みを。そして忘れちゃいけないのが、京都・原了郭の黒七味。ふわっと香り、ピリッと舌を刺激する美味しさ。「あったまるね〜」と言いながら、はふはふ食べる。これぞ、夫のおかわりが止まらない冬の味。

 

豚汁ってきっと、家庭によって味も食感も全然違うんだろう。入れる食材はもちろん、切る大きさ、切り方、食材の厚み、出汁や味噌も違う。稲刈りやお餅つき大会などの時に、他のひとが作った豚汁をいただくことがある。そういう時、いろいろ観察するのが楽しい。

「あ、うちよりも大根がぶ厚いな」とか、
「白菜はこのくらいクッタクタのほうが美味しいな」とか、
「お豆腐がゴロッと大きいのもいいな」とか…。

他のひとが作った豚汁を食べると、「あ、こんな風に作るのもいいな」って浮気してみたりするんだけれど、やっぱり自分の作り方に戻っていく。そういうのが子ども達の記憶に刻まれて「おふくろの味」になっていくのだろうか?

 

 

寒い日はいそいそと。具沢山のスープを作って食べたいのだ。ぶ厚い鍋でコトコトしているうちに、いつの間にか寒さも忘れてしまう。いや、そんなことはないか?

 

料理は楽しい。どんな食材で、どんな風に切って、どんな味付けにして、どの器でどうやって食べよう?  

木枯らしがピューピューする今日のような日は、お留守番しながら料理の楽しみを味わう子ぐまの姿がかわいいこの絵本が読みたい。最後に出てくる、母とのやり取りも大好き。あったか〜いお話です。

ぼくのシチュー、ままのシチュー

ぼくのシチュー、ままのシチュー

 

  

次回12/8(木) 10:00〜開催予定の「おとなの絵本クラブ」は、「あったか〜くなる絵本」がテーマ。絵本についてじっくり語ったあとは、もえぎ家の料理びと「HARAMIRAI」のランチも一緒に楽しみましょう。

昨日開催された「調布系ワークスタイルをまちのみんなでつくろう」というイベントで行ったお味噌汁ワークショップも大好評だったHARAMIRI。

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お手製お味噌にお好みの薬味を混ぜて味噌玉を作り、お好みの具と、あったか〜いお出汁を注ぐだけ。でも、自分でシャーコシャーコと削ったカツオブシや薬味の香りがふわ〜っ。とってもシンプルだけど、美味しくて、あったかくて。「思わずこぼれてしまった」と言わんばかりの「おいしい〜」の声がたくさん聞かれて、幸せな時間でした。どんな味になるかなぁと想像しながら作るのって、本当に楽しい。そして、あったか〜くなる食べものっていいなぁと改めて感じました。(私のお気に入り薬味は菊花!この季節ならではですね。)

12月の「おとなの絵本クラブ」でも、あったか〜くなるランチを皆さんで楽しめるよう、ぬくぬく企画中です。詳細のお知らせをどうぞお楽しみに!

 

 

ほんとうに私はいい母親かしら。

更新が滞っているうちに、すっかり寒くなってしまいました。いつの間にか秋を通り越して、すでに冬のような寒さ。お布団にもぐりこんだ子ども達の手足の、まあ冷たいこと。

 

子ども達は、私が読む絵本を眺めながら、冷えた足を私の足の間に突っ込んでくる。その度に、ふっと自分の幼少期を思い出す今日この頃。寒くてたまらない時、母の首元に手のひらや甲を交互にあててみたり、母の太ももに足の裏をぴたっとくっつけては、自分の手足を温めていたっけ。

 

ぞっとするくらい冷たかっただろうに、母に嫌がられた記憶は一度もない。あったかかったなぁ…。今の私は、「もうっ冷たいよう!」と子ども達の手足をはらいのけてしまう時もあるのに、ね。

 

 

「母にもっと愛されていたかった…」

自分の家庭を築くまで、いや、子どもが生まれてしばらくは、そんなコンプレックスを抱えていた私。愛されて育ったという感覚はあまりなかった。でも、こうして幼少期のことを思い出してみると、たしかに愛されていたんだと思う。母は母なりの方法で、愛情表現をしてくれていたのだと、今は思える。

 

それなのに「私は愛されていないかも」と思っていたのは、大きくなってから自分自身で植え付けた思い込みなのかもしれない。「○○ちゃんのお母さんはこんなことしてくれてるのに」と思ったり、誰かの幼少期の話を聞いては「私もそんなふうに育ててほしかったな」と感じたり…。「あの人はこうなのに自分は…」と、誰かと「比べて」自分の幸せ度をはかるようになってしまった頃からだろうか。

 

冷たい手足を温めてくれる母といえば、思い出す絵本がひとつ。

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『手ぶくろを買いに』(新美南吉 作/ 黒井健 絵 偕成社

 

小狐が生まれて初めて目にする雪景色。「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする。」とうったえる小狐の手に、「はーっと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んで」やる母さん狐。日本語以外ではどうしたって表わしきれないだろうと思えるこのなんとも言えない表現も手伝い、母の温かさがひしひしと伝わってくる。

 

自分は、子ども達に接する時、こんなにも温かくいられているだろうか?

 

初めて見た世界への驚きや感動を素直に表す小狐。その姿に、自分の子どもを重ねる。真っ白な雪に反射する太陽の光を見て「眼に何か刺さった」とびっくりしてみたり、「まんまるな眼をぱちぱち」させてあたりを見回してみたり…そんな時期は、小さいうちだけ。それなのに、目の前の家事や、自分の人生のことに気を取られて、うっかりこの愛おしい瞬間を見落としてしまいそうになる自分にハッとする。そう、今だけ、今だけなのにね。

 

そんな温かさに欠けた自分に、「こんな母親でいいのかな」と悩んでしまうことがある。でもそういう時はだいたい、誰か他のお母さんと「比べて」いる時なんだと思う。「あの人はこんな風に子育てできているのに…」とかね。「いい母親」かどうかなんて、本当はないんだと思う。それはきっと、自分で決めているだけのこと。母なりの方法で愛してくれていたはずの母に、いつの間にか誰かと比べて「愛してくれなかった」と勝手に決めつけていたのと同じことなのかな。

 

母親にも、子どものことばかり考えていられない時もある。だって、この絵本に出てくる母狐も。「かあいい坊や」をたった一人で自分が「怖い」と思っている人間の世界へ送り出してしまうというツッコミどころもあるじゃないか。いい母親として描かれているようで、母親だってひとりの人間(一匹の狐か)であることを、あえて描いているのか? 母親だって完璧じゃないものね。

 

ああ、この愛おしい瞬間にちゃんと向き合えていなかったな。

そう気づいた時に、自分なりの方法で挽回すればいいのだ。きっと。昨日はだめだったけど、今日はしっかり向き合えたから、まぁいっか。そのくらいの気持ちでいたい。

 

 

ほんとうに私はいい母親かしら。

ついそんな思いに苛まれる時は、そう思うようにしよう。

私は、私なりの方法で愛情表現をするのだ。

 

 

 

さて、しばらく開催できていなかった「おとなの絵本クラブ」ですが、12月に復活!今回は、開催場所のもえぎ家の料理びと「HARAMIRAI」とのコラボ企画。「あったか〜くなる絵本」をテーマにした絵本を読み合ったあとに、「HARAMIRAI」のあったか〜くなるランチを一緒に囲みながらお話しましょ、という企画をぬくぬく温めています。

 

「手ぶくろを買いに」も、私の中で「あったか〜くなる絵本」のひとつ。 そのほかにも身も心もぬくぬくする絵本を持参します。もちろん、いつものごとくお気に入り絵本の持ち寄りも大歓迎。

 

日時は12/8(木) 10:00〜13:00頃を予定しています。
また詳細が決まりましたらお知らせします!

夏なんて、大嫌いだったのに。 〜#3 夏に読みたい絵本〜

じりじりと照りつける太陽。

真っ青な空に、入道雲。
大きなひまわり。セミの声。

「あぁまたやってきた……」と思ってしまうこの季節。

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じっとりベタベタしたこの空気が苦手で、夏は大嫌いだった。

なのに。なのに。

 

夏のイメージを体いっぱいに取り込んでいたら……
不覚にも、あぁ夏っていいじゃないかって思っちゃったじゃないか。
美しく切り取ってくれちゃう絵本って、ニクイ。

 

「おとなの絵本クラブ」第3回のテーマは、「夏に読みたい絵本」。
「実は夏って嫌いなんですよね」って話したら、参加者の皆さん大笑い。
そりゃそうか。

 

でも、夏に対する嫌なイメージを壊してみたかったのかもしれない。 


あの色や、音、空気は、夏限定。

 

たくさんの夏の絵本に触れて、夏の話をしていたら、
その愛おしさに気付かされてしまった。

 

 

例えば、波に揺られながら冒険に出たような気分になる海の世界。

それっ、と元気いっぱいにとびこめた時の喜び。いぬかきに、イルカ・ジャンプ。

おばけが出るかもと勝手に想像して、きゃあきゃあ騒いだり。

水しぶきをあげた途端、葉っぱについたしずくの中に自分を見つけたり。

まぶしい太陽の下で、青々とした緑に飛び込んで探し出す、クワガタムシ

暑くてたまらないのに、走って走って走って、ハァハァ言っている自分。

全体が白っぽく感じる朝の空気。

なんだか興奮して眠れない夜。

浴衣を着て、ちょっと浮き足立つように出かける夏祭り。

 

全て、絵本の中に切り取られた世界。

夏だけの特権。

切り取られると、キラキラ見えてくるから不思議。

 

 暑い暑いとあんなに言っていたのに、いざ終わってしまうと、恋しくなる。

それが夏っていうやつなのかもしれない。

 

毎年そうなのに、忘れてるんだな。私ってば。

 

 

さあこい、夏!

今年こそ体いっぱいで味わってしまおう。

うだるように蒸し暑くたって、息苦しくたって、
あの音や香りを思う存分、味わってやろうじゃないか。

と、おとなの絵本クラブが終わったあとは、鼻息荒くなっていたくせに。

 

この3連休のうだるような暑さには、
やっぱりちょっぴり怖気付いてしまった……。

 

 だって、数十年、夏嫌いとして生きてきたんだもん。

 

でもそんな時は、夏の絵本たちを取り出そう。
いいじゃん、夏。最高じゃん、夏限定。って思い出せるから。

 

そう思わせてくれた絵本にたくさん出会えて嬉しかったです。

参加してくださった皆様、ありがとうございました。

 

前言撤回。

やっぱり夏が好き! 

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▲キャンセルも出て、参加者は3名。絵本が好きすぎる人ばかりで話は止まらず……

 

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▲今回は、一つの本をじっくりというより、気になる絵本をたくさん読む会に

 

「おとなの絵本クラブ#3 〜夏に読みたい絵本」で読んだ絵本

  • 『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン作 / マーガレット・ブロイ・グレアム絵 / 森比左志訳 ペンギン社)
  • 『お化けの海水浴』(川端誠 作・絵 BL出版
  • 『わにわにのおでかけ』(小風さち 作 / 山口マオ絵 福音館書店
  • ぐりとぐらのかいすいよく』(中川李枝子 作 / 山脇百合子 絵 福音館書店
  • 『ねずみとくじら』(ウィリアム・スタイグ 作・絵 評論社)
  • 『なつのあさ』(谷内こうた 作・絵 至光社)
  • 『なつのいちにち』(はたこうしろう 作 偕成社
  • 『みずたまレンズ』(今森光彦 作 福音館書店
  • 『めがねうさぎのうみぼうずがでる!』(せなけいこ 作・絵 福音館書店

当日、話題にあがった絵本と一緒に、ブクログの本棚にまとめています。(それぞれのレビューは書いていません) 今回は、絵本に詳しい方が多かったこともあり、とにかくたくさんの絵本や詩の本、童話にも話が広がりました。絵本を起点に、これだけ話が広がるのって、面白い。

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▲夏の絵本のおトモに、赤しそジュース

 

次回の「おとなの絵本クラブ」は8月下旬に開催予定

これまで、絵本が大好きな人が中心に来てくださっていたので、次回は「絵本はあまり好きじゃないんだけど……」って方にも楽しめる場にできるといいなぁと思っています。

ちなみに、8月は開催場所の「もえぎ家」にて、コケシ展開催中なので、コケシに絡めてやろうかどうしようかな〜と悩み中……。

詳細は改めてお知らせしま〜す。

ここではないどこかではなく、ここで生きる。〜「ねずみ女房」を読んで〜

ここではない、どこかへ……。

自分の生きる場所は、もっと違うところにあるのではないか……。

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子どもが生まれて、子どものお世話や家事に追われている時、
そんな考えがふっと心に湧いてきたことがあった。
1日中、授乳にオムツ替え、家族の食事の支度、エンドレスに思える掃除に洗濯。
この家の外では、今どんなことが起こっているのだろうか。

そんな思いを抱いたことがある人に贈りたい「ねずみ女房」。
絵本というよりは、もう少し対象年齢は上の児童文学だ。  

地味なタイトルと表紙から、実ははじめはあまり興味をそそられなかった。
でも読み始めると、引き込まれるように一気に読んでしまった本だ。
モノクロの挿絵も、物語を静かに引き立てていて、とても美しい。 

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主人公は、家の中を全世界だと思いながらも、外の世界が気になるめすねずみ。いつものように窓の外を見るために窓じきいの上にのぼったときに、鳥かごがあることに気づく。鳥かごの中は、その家の子どもがつかまえてきた、きじばとがいた。豆ほしさに鳥かごに入り込んだねずみは、初めてはとの存在に気づく。

「何かおそろしいものがいる」と思いながらも、ねずみは少しずつ、はととの距離を縮めていく。はとの話を通して外の世界のことを知り、憧れを強めていくねずみ。

 ある時、ねずみははとを鳥かごから逃がしてやる。外の世界について話してくれる者がいなくなってしまった悲しみに打ちひしがれるねずみ。

 

そのあとに生まれて初めて、自分の目で星を見つけた。

でも、わたしには、それほどふしぎなものじゃない。だって、わたし、見たんだもの。はとに話してもらわなくても、わたし、自分で見たんだもの。わたし、自分の力で見ることができるんだわ。」

 

はとには、はとの生きる場所があり、自分には自分の生きる場所がある。

ここではないどこかではなく、ここで生きるには、自分の力を信じること。

そう気づいた女性の強さのようなものを感じる本だった。

 

もう少し、いいタイトルだったら良かったのにとも思った。
「ねずみ女房」とは、あまりに古めかしい。
でも訳者の石井桃子さんは、あえて「女房」という言葉を使っているのかもしれない。
それは、家の中が全てであった昔の女性を象徴させるため?
日本で最初に出版されたのが1977年。
これからの女性に託す思いが込められていたような気もする。

 

この本には、きっと色々な解釈の仕方があるのだと思う。

 「なぜ外の世界を知ったのに出て行かないのだろう!」と憤る人もいるだろう。

お互いに結婚相手がいるのに、思いを寄せ合うなんて!と思う人もいるかもしれない。 

そして、このねずみ女房がもし男だったら……
外の世界に出て行く冒険物語になりそう。

そんな風に妄想を楽しむのも、物語の面白いところだ。

 

 

実は、この本は、友人との読書会の課題本として読み始めたもの。
初めはそそられなかったのに読み始めたのは、読書会の日にちが決まっていたから。
おかげでいい本に出会えた嬉しさたるや。締め切りがあるって、いい。

 

読書体験を誰かと共有することは、とても楽しい。

課題本を読んで感想を話すことをメインにした読書会を開いている友人が書いた、
「読書会」についてのブログが面白いので、ぜひ。

hitotobi.hatenadiary.jp

hitotobi.hatenadiary.jp

本を通じて人と出会うおもしろさは、同じ本を読むという共通の能動的な体験をしてこそ得られる。

彼女がそんな思いで楽しそうに開催していた読書会。 

「おとなの絵本クラブ」は、大好きな絵本でそれができないかと考えて始めました。
絵本だけでなく、今日ブログに書いたような、児童文学を扱っても楽しそう。

 

読書会、いろいろなところで広まったら面白いだろうな。

 

 

取り上げた絵本(児童文学)について

『ねずみ女房』 (ルーマー・ゴッデン作 / ウィリアム・ペーヌ・デュボア画 / 石井桃子訳 福音館書店

 

一緒に読みたい本

『そして、ねずみ女房は星を見た <大人が読みたい子どもの本>』(清水眞砂子著 テン・ブックス)

 児童文学翻訳家・評論家である著者による、大人が読みたい子どもの本13作品(「ねずむ女房」を含む)への想いを綴ったエッセイ。読書会仲間に紹介してもらって、読んでみたくなりました。

 

扉の向こうには…… 〜#1 よし、やってみよう!〜

この扉の向こうには、どんな世界が待っているのだろうか。
ドキドキ。ワクワク。
扉を開ければ別世界が待っている。 

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絵本の扉を開く瞬間は、いつもそんな気持ちで臨みたい。
親子で一緒に扉の向こうに飛び込んで行けたら、家にいながらプチ旅行気分。
きっと最高に楽しい。


子どもが生まれて初めて絵本に親しむようになり、初めは「読んであげる」という意識だった。
子どもが面白がる理由がわからない絵本にもたくさん出会った。
でも、せっかく読むなら、親だって一緒に楽しみたい。

 

時々、夫やママ友と「この絵本のどこが面白いのか」という話をすることがあった。


ある人は、言葉の使い回しが面白いと言って、
ある人は、文章には全く関心がなくて、絵の世界観が素敵だと言う。
ある人は、読むと必ず泣いてしまうと言って、
ある人は、笑えて仕方がないと言う。
同じ絵本でも、人によって面白いほどに感じ取り方がまったく違う。

 

そうか、絵本の楽しみ方はひとつではない。
色々な視点から見たら、絵本の楽しみ方が何倍にもなるかもしれない。
大人同士であーだこーだ語ってみたら、扉の向こうの世界に子どもと一緒に思いっきり飛び込めるヒントが見つかりそう。

 


そんな思いから始めた「おとなの絵本クラブ」の第1回。

開催日の4/24(日)は、友人と運営しているもえぎ家オープニングパーティの日だった。

はじまりということで「よし、やってみよう!」というテーマを設定。
持ち寄り絵本の読書会として、ドキドキしながら告知した。

 

が、困ったことに事前のお申込者は1人。人の出入りは多かったので、その場にいた方に「絵本について語ってみませんか?」と声をかけてみた。男性が1人、おばあちゃんが1人、小学生のお母さんが2人と、小学生1人が参加してくれた。ほっ。

 

まずは、絵本にまつわる思いを自由に語ってもらった。

特に印象的だったのは、「幼い頃、母親に絵本を読んでもらっていた時の安心感を今でも覚えている」という男性の声。

 

「絵本を読んでいる時だけは、母親の声が優しかった気がする」なんて、子育て真っ最中の母親はぐっときてしまうではないか。絵本に出てくる言葉のリズム感の心地よさは、たしかに読み手の気持ちもリラックスさせてくれる。

 

語るうちに、思い出の絵本の記憶が、それぞれから溢れるように出てきた。

 

何度聞いても面白くてたまらなかった昔話の絵本、ちょっぴり怖いけれど読みたくなってしまう「モチモチの木」、小学校の教科書に載っていた「おおきな木」。読むと感情移入しすぎていつも子どもより先に泣いてしまう「だいじょうぶ だいじょうぶ」や「としょかんライオン」など……。

 

その人の思いも一緒に聞いているせいか、読んでみたくなってしまうから不思議。

ネット上でレビューを眺めるのとは、まったく異なる感覚だった。

 

絵本を実際に読んでみる時間も設けた。

 

主催者の私が「よし、やってみよう!」にちなんで持ってきた「うちのペットはドラゴン」。事前に申し込んでくださっていた方が持参してきてくれた「とけいのあおくん」。その場にいた方が「絵本はあまり好きじゃなかったけれど、この絵本だけはよく覚えている」と話してくれた「わたしのワンピース」。

 

特に「とけいのあおくん」を朗読してもらった時間は、特に新鮮だった。

 

主人公は、ある男の子の誕生日プレゼントに買われていった小さな目覚まし時計のあおくん。初めてセットした時間にベルを鳴らせるだろうかとドキドキしながらその時間を待っているお話。ページをめくるごとに「あおくん、大丈夫かな、できるかな」と、ドキドキした感覚は今でも覚えている。

 

自分が読み手だったら、あそこまでのドキドキ感はたぶん得られない。
絵本を読んでもらう子どもの気持ちがわかった気がした。

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第1回の「おとなの絵本クラブ」を開催してから。


子どもと絵本を読む時は、書かれた文章をできるだけ丁寧に読むようにしている。
子どもと一緒に、絵本の世界に飛び込んでいくため。


ガミガミ怒ってしまって、雑に読んでしまう日は、ぜんぜん楽しくない。
目の前にある文字を、ただ文字として受け取っているだけ。

 

みんなで絵本の世界に飛び込めた日は、気持ち良く眠りにつけることを知った。


絵本は、いろいろな物語の世界に連れて行ってくれる。
扉を開けば、そこは別世界への入り口。
どこでもドアみたいだ。
絵本という形をした、色々な物語への扉。

 

さあ、私はこれからいくつの「どこでもドア」を見つけられるだろう。

 

子ども達が純粋に絵本を楽しめるのも、きっとあと数年。
それまでに、たくさんの「どこでもドア」を取り出せる人になりたい。
そして、色々な世界へのプチ旅行を、子どもと一緒にめいっぱい楽しもうじゃあないか。 

  

「おとなの絵本クラブ#1 〜よし、やってみよう!〜」で読んだ絵本

  •  『とけいのあおくん』(エリザベス・ロバーツ作 / 殿内真帆絵 / 灰島かり訳 福音館書店) 

  •  『うちのペットはドラゴン』(マーガレット・マーヒー作 / ヘレン・オクセンバリー絵 / こやまなおこ訳 徳間書店
  • 『わたしのワンピース』(西巻茅子作 こぐま社)

当日、話題に挙がった絵本と一緒に、ブクログの本棚にまとめています。

(それぞれのレビューはまだ書いていません。) 

 

次回の「おとなの絵本クラブ」は7/13(水) 9:30〜

 


持ち寄った絵本を大人同士で読みあい、感じたことを自由に語り合う「おとなの絵本クラブ」。第三回のテーマは「夏に読みたい絵本」です。海・スイカ・ひまわり・お化け屋敷……夏といえば、どんなことを思い浮かべますか?

 

詳細・お申し込みはこちらから 

もうすぐ夏本番!第3回のテーマは「夏に読みたい絵本」(7/13(水))

夏と言えば、海・水遊び・流しそうめん・虫とり・スイカ・アイス・ひまわり……何を思い浮かべますか?

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「おとなの絵本クラブ」の第3回のテーマは、「夏に読みたい絵本」。

うだるように暑くたって、「夏ってやっぱりいいね」って思いたいから。
絵本で涼やかに夏のイメトレをして、夏本番に備えよう。

「今年の夏は◯◯してみようかな〜」なんてワクワクも発見できるかも!?

 

「絵本が好きで、他の人と絵本の楽しみを共有したい!」

「絵本の選び方が分からない…他の人はどんな絵本を読んでいるの?」

「子どもへの読み聞かせの時間がちょっぴり苦痛…もっと楽しみたい!」

……など、絵本に関心のある方なら、老若何女かかわらず、どんな方でも大歓迎です。


 *第2回の様子はこちら

 

【おとなの絵本クラブ#3 〜夏に読みたい絵本〜】

 ・日時 :7/13(水) 9:30〜11:30

 ・場所 :もえぎ家

 ・参加費:500円

 ・持ち物:夏に読みたい絵本

 ・定員 :6名(お子さん連れも歓迎です)

 

 *詳細・お申し込みはこちらから
(お申し込み後のご連絡は、もえぎ家のメールアドレスからお送りします)

 

心の傘を開こう 〜#2 改めて読みたい思い出の絵本〜

「20歳になったら、やりたいことを見つけて邁進しているはず」
「24歳になったら、仕事がバリバリできる女性になっているはず」

やりたいことが分からず悩む高校生の頃や、
仕事に慣れずにもがく新社会人頃の私は、そんな風に考えていた。


でも、人生は「◯歳になると、◯◯ができるようになる」ものではない。

赤ちゃんが「1歳前後で歩き始め、2歳前後で会話ができるようになる……」などと書かれた育児書の通りには育たないのと同じである。彼らは、自分の体がどう動くのかを、好奇心のままに試していくうちに、できることが増えて行く生き物だ。

できるようになるのを待つのではなく、積極的にやってみる。

やってみたら楽しくなかった。

それならやめればいい。

楽しければ、もっと楽しいことができないかと、また進む。

やってみなければ、楽しいかどうかも分からないから。

 

4冊の絵本を通じて、そんなことに気づかされた「おとなの絵本クラブ」の第2回。大人同士で読みあい、語り合うほど、人生や子育てのヒントまで見えてきて、数日経った今でも余韻が残る会に。
(▶︎「おとなの絵本クラブ」とは

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▲「改めて読みたい思い出の絵本」をテーマに集まった4冊(写真には原書も含まれています)

 

大きいものへの絶対的な信頼感
三びきのやぎのがらがらどん


まずは子どもたちに大人気のノルウェーの昔話から。
大人から見ると、全員が同じ名前であることが不思議だし、トロルは何者なのか、そもそも悪者なのかも分からない。そして、あまりにあっさりした結末に、解釈が難しい……というのが参加者の共通認識だった。


でも、朗読に静かに耳を傾けるうちに気づいた。

「かた こと かた こと」

「がた ごと がた ごと」

「がたん、ごとん、がたん、ごとん」


この言葉のリズムの微妙な変化が、子どもには面白いのだ。
そして、悪者をやっつけるという、ストーリーの痛快さ。

耳で感じたあとは、みんなでトロル(トロール)の謎解き。
トロールものがたり」や映画の「となりのトトロ」にもヒントを見つけた。

個人的に考えさせられたのはこのシーンだ。
一番目と二番目に小さいがらがらどんは、トロルに出くわした時にこう言う。

「ああ どうか たべないでください。」

「すこしまてば、二ばんめやぎのがらがらどんがやってきます。
ぼくよりずっとおおきいですよ」

「おっと たべないでおくれよ。
すこし まてば、おおきいやぎの がらがらどんがやってくる。
ぼくより ずっと おおきいよ」


自分よりも大きいがらがらどんがトロルに食べられることはない、という確信がなければ、こんなことは言えない。小さい子どもが感じる、大きいものへの絶対的な信頼感はすごいのだろう。

また、このシーンについて、参加者の方が、中学生の息子さんの考えを共有してくれたのも面白かった。それは、「三びきのがらがらどんは、実は同一人物(やぎ)で、大きくなった自分が最後にトロルを倒すだろうという象徴なのでは。だから同じ名前なのだ」というもの。

はぁ〜、そうきたか。

小さいやぎに、かつての自分の姿を重ねていたら、だんだんかわいく思えてきた。
小さいものが「大きいものへの憧れ」を抱くことは、きっと自然なことなのだ。

「◯歳になったら…」だなんて甘い!と思っていた過去の自分、許してやろうかな。 

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▲同じ絵本でも、作家や訳者によって雰囲気が全く異なる。違いを楽しむのも面白い。

 

子どもは全てお見通し?
「ピエールとライオン」


そうは言っても、いつまでも「若いって、いいね」なんて呑気なことも言ってはいられない。あっという間に年は過ぎるのだ。私は20歳になってもやりたいことはよくわからなかったし、24歳になっても仕事に悩んでいた。

そんな時に、子どもが生まれた。

やっぱりここでも、子どもが生まれたからといって、母親になれるわけでもなかった。
「母性」ってやつが、勝手に私を母親にしてくるかとでも思っていたのだろうか……。

自分の人生もまだ悩んでいるのに、こんなに小さくか弱い生き物を育てられるのだろうかと不安になる。子どもが楽しく生きて行くために、母親として何ができるだろうか。そんな風に子どものことを考えながらも、子どもの行動を思い通りにしようとしている時がある。
 
「ピエールとライオン」には、そんな母親の行動を象徴するシーンが出てくる。

問題のシーンがこちら。

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お、おいおい母よ……

「なにが たべたい?」と聞きながら、なぜ帽子をかぶっているのか。
そう、頭の中は、この後に待っているお出かけという自分の目的でいっぱいなのだ。

母である参加者のみんな、ドキッ。

自分の目的のために、ご機嫌を取るようにあれこれ手を尽くす経験、あるわぁ。
そりゃあ、「ぼく、しらない!」と言われても文句は言えないよね……。

大人の都合では、子どもには響かない。動かない。ごまかせない。

「しらない!」「やだ!」と言い張る子どものスイッチをどう入れるか、
それは、口で伝えるのではなく、行動で示すことなのかもね。
そんな話にも花が咲いた。

 

あと、このシーンの面白いところは、子どもが頭にシロップをかけているところ。
子どもとの日々には、こんな珍事件が起こることはざらである。
だから「起きて食べて、どこかへ行って帰って寝る」だけでも、忙しい。

あまりの慌ただしさに、「はぁ〜っ」とため息が出てしまうこともある。
なーんだ笑える思い出じゃんって気づくのは、いつも後からなのだ。

映画のワンシーンのような家族の日常
「14ひきのこもりうた」


家族が眠りにつく前の、何げない数時間を切り取ったお話。
それでいて、映画でも見ているような壮大さを感じるのがこの絵本。
ページいっぱいに広がる絵の下に、字幕のように文章があるからだろうか。

絵からにじみ出る温かさと、美しく添えられた言葉に、一同うっとり。

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▲ここでも事件発生中。お風呂場で水鉄砲……そして顔に当たってる……。


こんなふうに、自分の人生も俯瞰して眺め、
映画の主人公にでもなったような気分で過ごせたら……
子どもとの何げない日常も、もっと輝いて見えるかもしれない。
珍事件も、ふふっと笑って過ごせるかもしれない。

ふと思いつく。
そうだ、ミクロな視点とマクロな視点を切り替えながら、暮らしてみようか。

珍事件が多発する日々は、ミクロな視点で面白がりながら過ごす。
時々、マクロな視点に切り替え、自分の人生を俯瞰して、映画を見るように眺める。

おお、上手に切り替えることができたら、なんだか楽しそうだ。
子どもとの日常と、自分の人生、どちらにも向き合える一歩かもしれない。
う〜ん、できるかな。
 

ふとしたきっかけで、人生は変わる
「おじさんのかさ」


参加者それぞれ思い出の絵本を紹介した時に、みんなが最も引きつけられていた絵本。

「迷った時に読むと、背中を押してくれる絵本です」

……え!?
タイトルと表紙とのギャップに、どんな内容なのか、みんな興味津々。

 

主人公は、表紙の通り、立派な真っ黒の傘がご自慢のおじさん。
濡らしたり汚したりするのが嫌だからと、雨が降っても傘はささない。

でも、たまたま聞いた子ども達の歌声をきっかけに、変わった。

「あめが ふったら ポンポロロン」

あめが ふったら ピッチャンチャン。」


 つられて同じ言葉を口ずさん途端、立ち上がってこう言う。

「ほんとかなあ。」
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そして、絶対に開かなかった傘をさして、その音が本当に聞こえるか確かめる。
 

「ほんとだあ。」 


おじさんが子どものように喜ぶから、面白い。


ミクロな日常に忙殺されていると、忘れてしまうことがある。
マクロなところにある自分のやりたいこと。
いや、覚えていても「今はその時じゃないから」と心にそっと閉まってしまう。 

でも、心の中で温め続け、待ちの姿勢でいても、何も起きないのだ。

ミクロな視点とマクロな視点をいったりきたりしながら、
「これだ。」というタイミングで、
閉じていた心の傘をパッと開いてみよう。

小さい一歩でもいい。
「ほんとかなぁ。」と疑いながらでも、
やってみないと、楽しさは分からないから。 

もちろん、出会いやタイミングもある。

勉強をやらない子どもも、スイッチが入る時が来るかもしれない。
焦らず「待つ」ことも大事だね、なんて子育て話にも花が咲いた。
なかなか待てないよね〜なんて笑いながら。

さあ、心の傘、いつ開けるかな。

 

人生や子育てのヒントは絵本の中に?
大人同士でもっと語りたい


ここまで書いてきたことは、複数人で話したから見えてきたこと。
私一人では、とうてい読み解けなかったことばかりだ。

絵本のことだけでなく、人生や子育てのヒントまでたくさん見つけてしまった。
あぁ、深い。
あぁ、大人同士で絵本を読み合う場は、なんて面白いんだろう。

実は、こういう場を作りたいと思いながらも、
私はずっと心の中に秘めていた。
おじさんにとっての傘のように、大事に大事に温めていた。

でも、やってみたらやっぱり面白かった。

「もう少し絵本に詳しくなってから」
「人が来なかったらどうしよう」
「私より絵本に詳しくて、お話も上手な人、多いしなぁ」
などと考えて踏みとどまっていたのだ。

その思考は「◯歳になったら◯◯ができる」と考えていたあの頃と一緒だ……。

でも、心の傘をぱっと開いてみて本当に良かった。
これからも迷った時は、この呪文を唱えよう。

あめが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン



参加してくださった5人の方々と、
「やってみなよ!」と背中を押してくれた「もえぎ家」のメンバーに、
そして、最後まで読んでくださった皆さんに、心からの感謝を込めて。

ありがとうございました。

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調布市・つつじヶ丘のちいさな平屋のおうち「もえぎ家」にて 

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▲「もえぎ家」は、昭和の香りが漂う古民家。不定期にイベントを開催しています 

 

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▲「もえぎ家」の料理びと「HARAMIRAI-ハラミライ」特製の甘酒アイス付きでした


 

「おとなの絵本クラブ#2 〜改めて読みたい思い出の絵本〜」で読んだ絵本

当日、関連してご紹介した絵本や、話題に挙がった絵本と一緒に、ブクログの本棚にまとめています。

おとなの絵本クラブの絵本棚 (otonanoehonclub) - ブクログ

(それぞれのレビューはまだ書いていません。これは余力があれば、追々。) 

次回の「おとなの絵本クラブ」は7/13(水) AM


持ち寄った絵本を大人同士で読みあい、感じたことを自由に語り合う「おとなの絵本クラブ」。次回は、7/13(水)AMを予定。テーマはシンプルに「夏」にしようかな。

詳細が決まったら、またお知らせします。