「まどからおくりもの」のお礼はビール!
早いものでもう12月。昨晩はクリスマスツリーを出して、飾り付け。折り紙やアイロンビーズで息子が作ったオーナメント達。1年に1度しかツリーの箱を開けないから、作ったことさえすっかり忘れている。そういえば、娘が生まれた直後は、あまり外出できず、こういうのいっぱい作ってたね。いろんなことを思い出して懐かしくなる。今年からは娘作のオーナメントも増えていくのかな?
クリスマスという文化にはまだ馴染めずにいるけれど、ツリーの飾り付けとか、クリスマス絵本は好き。季節を感じるからかな。
五味太郎さんの「まどからおくりもの」(偕成社)は、子ども達も大好きな絵本のひとつ。すべてのページの窓をひとつひとつ開けながら、次のページに待ち受けている五味太郎ワールドに飛び込んで行く仕掛け絵本。ぱっと見で「あ、五味太郎!」ってわかる世界観って、やっぱりすごいよなぁ。
小学校2年生の息子は、まだまだサンタさんを信じる可愛いお年頃。数年前のクリスマスイブに、夫が「サンタも疲れてるだろうから、ビール置いておこう!」と、手紙とともにビールを机に置いておいた。朝になって空っぽになったビール缶を見て息子は大興奮。息子はこのサプライズがいまだに心に残っているらしく、「今年もビール置いておこっか!」だって。かわいいな。
今年のクリスマスの、まどからのおくりものは何かな?
サンタさん、お礼のビールをお楽しみに!
次回の「おとなの絵本クラブ」は12/8(木) 10:00〜
テーマは「あったか〜くなる」絵本。季節的にクリスマスの絵本も取り上げよう。絵本に詳しくなくても、子どもに絵本を読み聞かせるのがちょっぴり苦手でも大丈夫。お外が寒くたって、火鉢を囲んで絵本を読んで、あったかランチを食べれば身も心もホッカホカ!
詳細・お申し込みはこちらから。
理想と現実の間で…ああ悩ましき素晴らしき母なる人生
「あぁ、私ってダメな母親だな〜…」
子どもが生まれてから今まで何度そう思っただろう。
はじめて子どもが生まれた8年前は、ただただ幸せだった。子ども好きというわけではないし、すごく望んで授かったというよりは、思いがけず訪れた妊娠。その、心の準備ゼロでスタートする感じが、逆に良かったのだと思う。
赤ちゃんってこんなに手足が小さいのか!自分からお乳が出るのか! 寝顔はまるで天使じゃないか! 寝る間も惜しんで見つめ続けていたい!
……ちょっとしたことにいちいち感動し、幸せいっぱい。それが1人目の産後。もちろん大変なこともあったけれど、それよりも圧倒的に幸せが勝っていた。
子どもが大きくなるにつれ、私は子育てに関する知識や情報をどんどん得ることになる。ママ友、先輩ママ、子育て支援者、ここ数年でどんどん普及したスマホなど、情報源はもはや無限。子育てに関して無知すぎた私には「そうだったのか!知らなかった!」と開眼。興奮して、あらゆる知識や情報を、それはそれは夢中で吸収した。赤ちゃんの生活リズム、食事のこと、しつけなど……。知らず知らずのうちに「理想の子育て」像が頭の中に出来上がっていた。
それからかもしれない。「私ってダメな母親だな〜…」と思うことが増えたのは。
それまでも「何やってんだ私!」と自分にツッコミたくなることがあっても、「てへっ」程度で済んでいたことが、ガクッと落ち込むことが増えた。
「子どもの肌の湿疹がひどくなったなぁ(私が昨日食べたものが悪かったのだろうか?)」
「子どもがテレビばかり見たがるなぁ(私、子育てサボってない?)」
「朝なかなか起きないなぁ(夜更かしが続いているせいだろうか?)」
「保育園に行くの嫌がるなぁ(仕事せず子どものそばにいるのがいいのだろうか?)」
こうして文字にしてみると「考えすぎ!」と思う。でも、理想と現実の間でさまよっていた渦中の私は本気である。そろそろ2人目を……と考え始めると、これがますますひどい。まず、思いがけず訪れた1人目のようにはいかず、なかなか授かれない。周囲の「2人目妊娠」ニュースに、ひたすら焦る。焦る。焦る。ようやく授かったと思えば流産。いざ生まれたら生まれたで、また「理想と現実のギャップ」に悩む。
2人目ともなれば子育てに慣れて楽になるかと思っていたのに、まったく逆。2人目が欲しいと思う期間が少し長かった分、「次の子が生まれたら、こんな風に子育てしたい」という理想が膨らみすぎたのだと思う。理想のようにはいかない現実。うまくいかない理由を、いちいち自分のせいにしては苦しくなる。1人目の産後は、あんなに幸せでたまらなかったのに。せっかく授かった2人目なのに、こんなに苦しいのはなんでなんだろう……。
母というものは、こんなにも悩ましい生き物なのだろうか。
いや、目の前にいる我が子の笑顔を見ると、やっぱり幸せな気持ちに包まれるのだ。
寝顔が愛おしくてたまらないのだ。
ご飯を美味しそうに頬張るほっぺたが、
知らない世界を知った驚きの瞳が、
何かに向かって走り寄って行く後ろ姿が、
「おかあさ〜ん」と言って駆け寄ってくるその顔、手足、体の動きが。
そのすべてが、たしかに可愛くてたまらないのだ。
そう、私が見ているのは「理想の子育て」というまぼろしではなく、目の前の我が子。
過去や未来を見すぎていたかもしれない。過去に子育てを経験してきた人たちの知恵や、こんな子育てをしたいという自分の理想。それも、もちろん子育ての手助けになるし、必要な時には頼っていいものだと思う。
でも、一番大事なことは。
過去でも未来でもなく、目の前のいのちと向き合うこと。
せっかくの子育てを悩ましいものにしたくない。
大事ないのちと真正面から向き合える母という役割。
それはもっと、素晴らしきものなはず!
「目の前のいのちと向き合う」
『まぼろしの小さい犬』は、多分そんなメッセージが隠された児童書。犬を飼いたくても飼えず、犬への思いをどんどんどんどん募らせる少年の心の動きが、細やかに描かれている。もう絶版となってしまっているのが残念。
- 作者: フィリパピアス,アントニー・メイトランド,Philippa Pearce,猪熊葉子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/07/06
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
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子どもの頃には児童書に馴染みのなかった私だけれど、最近その魅力にどっぷりハマっている。大人向けの小説ほどは読むのに時間がかからないし、救いのない終わり方とかがないのがいい。変に恋愛とか絡んでこないし。恋愛が絡んでくると、どうしてもそっちに気を取られてしまって、物語の本質に向き合いづらくなってしまうから……。絵本もそうだけれど、子どもの繊細な心の動きを物語に落とし込める作家って、本当にすごいと思う。児童書、本当におもしろい!
そのうち「おとなの児童書クラブ」もやってみたいなあ、なんて。
次回の「おとなの絵本クラブ」は12/8(木) 10:00〜
テーマは「あったか〜くなる」絵本。火鉢を囲んで絵本を読んで、あったかランチを食べれば身も心もホッカホカ!
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寒くてもポカポカの術
先日ちひろ美術館・東京へ初めて行きました。現在の展示テーマは「冬のしつらえ」。
パンフレットの切り抜きをノートに貼って、メモを残してしまった後の写真ですが…
いわさきちひろさんの絵は、絵のタッチが少し苦手だったのだけれど、原画を見たら一気に好きになってしまった。
描かれる子ども達の姿が、とにかく可愛い。
秋冬の寒空の下で遊びまわり、
暖かい部屋の中ストーブや暖炉で暖をとり、
クリスマスやお正月などの行事に心弾ませる…。
あぁ、これこれ、これが冬の子どもだよなぁ!
そして何より、冬らしい装いの可愛さったら!
セーター、帽子、マフラーや手袋の、ビビッドで温かみのある色合い。お正月にかるたとりをする着物姿の女の子からは、晴れ着を着る気恥ずかしさの中にある嬉しさみたいなのが伝わってくる。もう何十年も前なのに、その服装は古臭さを感じさせないどころか、むしろモダンでおしゃれ!
子どもたちと一緒に描かれる秋冬の植物の姿も美しかった。自然の移り変わりの中での子ども達の暮らしや、心の動きをとらえる感覚、なんて素敵なんだろう。
季節ごとに丁寧にしつらえた暮らしに憧れる。つい忙しさにかまけてしまうけれど、ちひろさんはそんなことよりも、心から暮らしを慈しんでいたんだろうな。いつでも手に取ってこの感覚を思い出せるように「冬の画集」を買うか迷っている。でも、ちひろさんの絵は、やっぱり原画がいいんだよなぁ…。
寒くたって、子どもは元気。外で駆けずり回ってハァハァ言う姿は愛おしい。先日、近所の田んぼでの収穫祭に参加させてもらった時に改めて思ったのだ。カラスウリの木に登ったり枯れ枝でチャンバラごっこをしたりして思いっきり遊び、小腹が空いたらつきたてのお餅を食べに戻って来る。焚き火で少し暖をとったら、すぐさま友達のところに飛んで帰る。子どもは、寒くてもポカポカの術を分かっているのだ。親が寒い寒いなんて言って家にこもってちゃだめね!
いわさきちひろさんの絵本、これを機に色々と読んでみたいな。
次回の「おとなの絵本クラブ」は12/8(木) 10:00〜
テーマは「あったか〜くなる」絵本。火鉢を囲んで絵本を読んで、あったかランチを食べれば身も心もホッカホカ!
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雪が溶けるのは当たり前?
11月にして、まさかの雪。「明日、降るかな〜」「いや、この寒さじゃ降らないでしょ」なんて言ってたら、朝になって雨が雪に変わってビックリ。
『ゆきのひ』 エズラ・ジャック・キーツ 文・絵 / きじまはじめ 訳 偕成社
子どもの頃、雪が降るのが嬉しかった。ふわふわの雪に足を踏み入れるあの感触。まだ誰も足を踏み入れていない真っ白な雪に、自分だけの足跡をつけたときの、誇らしさみたいなもの。一人で雪遊びも楽しいし、友達との雪合戦や雪だるま作りも楽しい。寒さなんておかまいなし。
そんな「ゆきのひ」の子どもの、喜びや楽しみが描かれたこの絵本。雪の絵本といえば、真っ白なページが多い印象だけれど、この絵本はとにかく色彩の鮮やかさが印象的。ページをめくるのもワクワクするほど。雪の白さが引き立って見える。
はじめは「色がきれい!」と、この絵本を楽しんでいた7歳の息子。何度か読むうちに、あるシーンで呟いた言葉に悲しくなったことがある。それは、主人公のピーターが、明日遊ぼうとポケットにしまっておいたゆきだんごが溶けて悲しんでいるシーン。
「バッカじゃん!雪が溶けるのなんて、当たり前じゃん」
当たり前…か。この頃、息子の口からよく出てくる言葉だ。小さい頃には、あらゆることに驚き、感動していたはずなのにね。知識や経験が増えるうちに、当たり前でなくなることが増えていく。でも「なんでこうなるんだろう?すごいな。おもしろいな」と思う子どもの気持ちは、持ち続けていてほしいなと思う。そう思いながら、子どもの成長にともない「そんなの当たり前でしょ、もう分かるでしょ」という態度が増えている自分に気づく。親がそれじゃあ、子どももそうなっちゃうじゃん、と自分にツッコミ。
なんでも当たり前と思わずに、子どもと一緒に驚いたり感動したり、「すごいね。なんでだろうね」って一緒に考える。そんな親でいたいな。そのほうがきっと、親も楽しい。世の中、当たり前ばかりになっちゃったら、つまんないよね。
次回の「おとなの絵本クラブ」は12/8(木) 10:00〜
テーマは「あったか〜くなる」絵本。「ゆきのひ」をはじめ、冬ならではの絵本も持参しようかな〜。お外が寒くたって、火鉢を囲んで絵本を読んで、あったかランチを食べれば身も心もホッカホカ!
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きょうだい喧嘩
『にいさんといもうと』 シャーロット・ゾロトウ 作 / メアリ・チャルマーズ 絵 / 矢川澄子 訳 福音館書店
きょうだいって不思議だ。同じ両親から生まれてきているのに、顔も性格も全然違う。一人っ子で育った私からすると、兄弟げんかも不思議でならない。仲良く楽しそうにしているな〜と思うと、いつの間にか喧嘩…。
もうすぐ8歳の息子と、3歳になったばかりの娘。娘が生まれる前は、5歳も離れているし、性別も違うから、兄は妹をさぞ可愛がるだろうと思っていた。ところがどっこい、それはただの妄想。兄は容赦なく、妹をいじめる。散々からかわかわれた娘は「やめて〜!!!」と怒って泣きわめき、ほぼ毎晩のように大騒ぎ。兄妹喧嘩が始まると、つい「いい加減にしろ〜!」と怒鳴りたくなってしまう…。
そのくせ妹は「おにいちゃ〜ん」と寄って行くし、兄は兄で寄ってくる妹を愛おしそうにぎゅっとする。その姿に、カメラを向けずにいられない親バカここにアリ。
きょうだいって、そんなものなのか?
一人っ子で育った私には、2人の繰り広げる世界はもう摩訶不思議。
以前に、同じく一人っ子で育った知人が、こんなことを言っていた。
「結婚したばかりの時は、夫に何か言われる度に喧嘩ふっかけられてるような気持ちになったんだよね。でも、しばらくして『あ、喧嘩じゃなくて話し合いたいだけなんだ』って気づいたの。一人っ子だから、そういうの慣れてないんだよね〜。」
これに激しく共感した私。私も、夫から急に責められたような気持ちになって「どうしてそんな言い方するの!?」なんて言ってしまうことがある。夫からすれば、話し合いたかっただけのことなのに。もう結婚して10年近く経つっていうのにまだ慣れず、応戦モードになってしまうこと度々で反省する。
兄妹喧嘩は、コミュニケーションの練習の場みたいなものなのかもしれない。自分のしたいことと相手のしたいことの折り合いのつけ方、距離感の保ち方、相手の気持ちの察し方…そんなことを学ぶために、きっと必要な過程。それを小さいうちに家庭の中でできるなんて、幸せなことじゃないか!一人っ子としては、うらやましくなってきたぞ。
喧嘩している様子は、外野から見ていて心地がいいものではない。だから、つい止めてしまいたくなるのだけれど。もっと自由に泳がせたらいいんだろうな。親が心地よいように…なんてしようとしても無駄。「一人っ子で慣れてないだけ。これは修行じゃ」と言い聞かせて…今日も兄妹喧嘩の渦の中に身を投じようじゃないか。
兄妹喧嘩の声にイライラっとしてしまった時のおクスリのような絵本が「にいさんといもうと」。
にいさんにからかわれ、泣き出す妹。その姿は、我が家の子どもたちみたい。特に、妹をからかって笑う兄さんの顔!「ヒャッヒャッヒャッ!」って感じの、わるそう〜な顔が、息子そっくり。何度も読んでるのに「ほら見て、そっくりだよ!」と言って見せずにはいられない。読む度にみんなでクスクス笑う。そして、最後のシーンで、きゅんとする(それはたぶん親だけ)。
絵も文も、かなりツボ。男は青で、女はピンク、みたいなお決まりのような色合いでないのも好き。同じくシャーロット・ゾロトウ作で、「ねえさんといもうと」という作品もあるようです。
次回の「おとなの絵本クラブ」は12/8(木) 10:00〜
テーマは「あったか〜くなる」絵本。開催場所であるもえぎ家の料理びとHARAMIRAIのランチ付き♪ あったか〜くなるお雑煮に、美味しい副菜が待っています。古民家で七輪や火鉢でお餅を焼くなんて、それだけでワクワク! 大人同士でじっくり絵本の世界に浸り、美味しいごはんを食べながら、楽しい時間をご一緒しませんか?
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子どもの心をゆさぶる絵本探しの旅
「どうして一緒に絵本を読んでくれなくなっちゃったの?」
ここ最近、寝る前に息子にぼやく時間が多くなっていた。「もっともっと(読んで)!」とせがむ娘(3歳)に対し、隣で別の本に集中している息子(7歳)。うーん、家族バラバラな感じが、どうにも切ない…。
図書館で選ぶ絵本は、だいたい日本の昔話かどこかの国の民話。好みがハッキリしていて、絵本が大好きだった息子だが、小学校に上がってからは、ほとんど本に親しまなくなってしまった。学校の図書室から借りてくるのは、ちょっと俗っぽい感じの児童向け図書や、アニメ絵本のようなもの。ぶあつ〜い「藤子・F・不二雄大全集」シリーズも大好き。
もちろん本人が好きで選んでいるので、それ自体を否定するつもりはない。私だって漫画は好きだったし、藤子先生の漫画は実際に面白いし。でもやっぱり、あんなに絵本が大好きだったのに…もう少し読み物っぽいものを読んでほしいな…。そんな思いが消せずにいた。
幼年向けの児童文学作品を色々と借りてきては、「これどう?」と手渡してみたものの、あまりハマらず…。3歳の娘も、あまり長い読み物は飽きてしまうし、息子と「一緒に読む」ことは諦めろということなのかなぁ…。そんなことを思っていた時に出会った1冊。
きえた犬のえ―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)
- 作者: マージョリー・ワインマンシャーマット,マークシーモント,Marjorie Weinman Sharmat,Marc Simont,光吉夏弥
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2014/04
- メディア: 単行本
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11/17(木)に調布市立図書館主催の「 子どもの本に親しむ会」で講師を務められた小宮由さんが翻訳・編集された本のひとつして、展示されていた。
子どもの探偵ものか〜と、なんとなく借りて帰ったら、これが見事に息子にヒット。久しぶりに布団の中で一緒に読み、読み終わった後に「これ他のシリーズもないの?」と一言。「あ〜、そういえばあったよ。今度見に行ってみる?」と冷静に返しつつ、心の中でガッツポーズ。
次のお休みに、一緒に図書館へ。司書さんに「ぼくはめいたんてい」シリーズをずら〜っと並べてもらい、その中から気になるものを4冊選んで借りて帰ってきたのだった。(このシリーズ、今では17巻まで出ているらしい!)
おかげで、ここ数週間は、このシリーズを寝る前に一緒に読んでいる。それなりに長いお話で、挿絵も少ないけれど、3歳の娘も一緒に静かに聞いている。それだけで、寝る前のあんなに寂しかった心が、ほこほこする。
ただ寒くて同じ布団に入りたいだけかもしれないけどさ。
母ってものは、単純だ。
小さな男の子が、ちょっとした事件の謎を解決していく様子は、幼年向けとはいえ、大人でもなかなか面白い。 探偵らしく振舞いながらも、パンケーキが大好きだったり、ママに手紙を書いていたりと、子どもらしい一面が垣間見られる主人公の様も可愛い。主人公が子どもだから、自分でも探偵になれそうって思ってワクワクするのだろうか。
読みながら「え、なんでだろう?」「あ、わかった!」なんて、つい口から出てしまう。子どもと一緒に考える時間も楽しい。
きょうりゅうのきって―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)
- 作者: マージョリー・ワインマンシャーマット,マークシーモント,Marjorie Weinman Sharmat,Marc Simont,光吉夏弥
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2014/07
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▲娘はこの巻が気に入ったらしい。何度も「かいじゅうのきって」と言い間違えては兄に突っ込まれてる…
講演会当日、小宮さんのお話もとても良かったので、一部、引用させていただきます。
「絵本は、子どもがはじめて出会う文学。だから、すぐれたお話を選んでほしい。すぐれたお話とは、人の喜びを我が喜びとし、人の悲しみを、我が悲しみとするお話。そして、幸せとは何かを伝えるお話だと思っています」
「絵本は、ためになるのものではなく楽しむもの。だから、親が『楽しい』と思う本を選ぶことが一番です。大人が読んで価値がない、つまり面白くない、と思う本は、10歳の子どもにとっても価値はないのです」
そうそう。せっかく読むからには、大人も子どもも一緒に楽しめて、幸せな気持ちになれる絵本がいい。私が「おとなの絵本クラブ」を開催するのも、根っこの思いはきっと同じ。「絵本って楽しい!」という思いを一緒に育める大人が増えれば、その子どもたちに伝わっていくはずだから。まずは大人が楽しんじゃおう。
それから、私のように「読んでほしいと思うものとは違う絵本を、子どもが選んでしまう」という参加者の方には、こんな風に答えられていました。
「大人だって、週刊誌とか読みたい時もあるでしょ?それもあっていい。いい絵本を大人が手渡してあげれば、帰る場所を知っているから、戻ってこれるから大丈夫」
本に限らず、子どもが触れるものについて、悩むことはこれからもたくさんあるだろう。そんな時にいつでも「帰る場所を知っているから大丈夫」と思っていたい。だからこれから先も、子どもたちの心をゆさぶる絵本探しの旅を、私はずっと続けていくんだと思う。なんて大げさかもしれないけれど。そのくらい、絵本の時間が好きみたい。
小宮由さんは、翻訳家・編集者でありながら、東京・阿佐ヶ谷で「このあの文庫」という家庭文庫を開かれている方。「『この』よろこびを『あの』こに」という思いが込められた文庫のネーミングも素敵。友人が以前に「このあの文庫」に取材に行った時、並んだ本棚の美しさに感動したとか。「手に取りやすいように本を置いてある」こと、家庭でも大事なことなんだろうな。「いつでも帰っておいでね」ってな具合に、ね。
その魅力を垣間見たい方は、友人が書いた小宮さんへのインタビュー記事も是非!
小宮さんのように家庭文庫を開くことは、ちょっとした夢。子どもたちに本を手渡せる人の手は、たくさんあるといいなと思う。とはいえ、絵本絶賛満喫中の人たちが家にいるし、まだまだ先かな〜。
病気の子がうらやましい?
8歳の兄が「おなかいたい…」というと、連動するように「おなかいたい…」と言う3歳の妹。なんでも兄の真似をしたがる子だし、「お兄ちゃんもお休みなら私も!」っていう、いつものパターンかな。そう思っていたら、今朝は本当に調子が悪かったらしい。お腹からくる風邪にやられている模様。
近しい誰かが調子を崩すと、なんとなくうらやましくなって「自分も…」となるのは、人間の心理なのだろうか? 妹が体調を崩して兄が「ぼくも!」となる逆パターンも、よくある。 そんな「病気の子がうらやましくなる」ストーリーが出てくるこの絵本が最近のお気に入り。
げんきなマドレーヌ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
- 作者: ルドウィッヒ・ベーメルマンス,Ludwig Bemelmans,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1972/11/10
- メディア: 大型本
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修道院のようなところで集団生活をしている少女達のうちで、一番おちびさんで、何事にも物怖じしない元気な女の子が主人公。この主人公に、少し男っぽい一面も持ち合わせた、元気な娘をなんとなく重ねて見てしまう。
今は8歳の息子が小さい頃は、図書館で見かけても気にも留めなかった絵本だけれど、女の子がいると、選ぶ絵本も変わってくるんだなぁ。初めは、女の子たちの表情もすごく単純でみんな同じように見えるし、特別うつくしい絵という感じも受けず、いまいち?と思ったのだけれど。読めば読むほど、瀬田貞二さんの独特のゆったりとした日本語訳の文章のおかげか、ぐっと物語に引き込まれていく。
そして、12人の女の子達の表情が、単純なのに豊かに見えてきて、かわいくてたまらなく見えてくる。別の子が主人公だったら、どんなお話になったんだろうか?
しかし、よく食べ、よく笑い、よく泣く娘が弱ると、なんだか調子が狂う。弱った様子もまた可愛いけれど、早く元気になってね〜。