夏なんて、大嫌いだったのに。 〜#3 夏に読みたい絵本〜
じりじりと照りつける太陽。
真っ青な空に、入道雲。
大きなひまわり。セミの声。
「あぁまたやってきた……」と思ってしまうこの季節。
じっとりベタベタしたこの空気が苦手で、夏は大嫌いだった。
なのに。なのに。
夏のイメージを体いっぱいに取り込んでいたら……
不覚にも、あぁ夏っていいじゃないかって思っちゃったじゃないか。
美しく切り取ってくれちゃう絵本って、ニクイ。
「おとなの絵本クラブ」第3回のテーマは、「夏に読みたい絵本」。
「実は夏って嫌いなんですよね」って話したら、参加者の皆さん大笑い。
そりゃそうか。
でも、夏に対する嫌なイメージを壊してみたかったのかもしれない。
あの色や、音、空気は、夏限定。
たくさんの夏の絵本に触れて、夏の話をしていたら、
その愛おしさに気付かされてしまった。
例えば、波に揺られながら冒険に出たような気分になる海の世界。
それっ、と元気いっぱいにとびこめた時の喜び。いぬかきに、イルカ・ジャンプ。
おばけが出るかもと勝手に想像して、きゃあきゃあ騒いだり。
水しぶきをあげた途端、葉っぱについたしずくの中に自分を見つけたり。
まぶしい太陽の下で、青々とした緑に飛び込んで探し出す、クワガタムシ。
暑くてたまらないのに、走って走って走って、ハァハァ言っている自分。
全体が白っぽく感じる朝の空気。
なんだか興奮して眠れない夜。
浴衣を着て、ちょっと浮き足立つように出かける夏祭り。
全て、絵本の中に切り取られた世界。
夏だけの特権。
切り取られると、キラキラ見えてくるから不思議。
暑い暑いとあんなに言っていたのに、いざ終わってしまうと、恋しくなる。
それが夏っていうやつなのかもしれない。
毎年そうなのに、忘れてるんだな。私ってば。
さあこい、夏!
今年こそ体いっぱいで味わってしまおう。
うだるように蒸し暑くたって、息苦しくたって、
あの音や香りを思う存分、味わってやろうじゃないか。
と、おとなの絵本クラブが終わったあとは、鼻息荒くなっていたくせに。
この3連休のうだるような暑さには、
やっぱりちょっぴり怖気付いてしまった……。
だって、数十年、夏嫌いとして生きてきたんだもん。
でもそんな時は、夏の絵本たちを取り出そう。
いいじゃん、夏。最高じゃん、夏限定。って思い出せるから。
そう思わせてくれた絵本にたくさん出会えて嬉しかったです。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
前言撤回。
やっぱり夏が好き!
「おとなの絵本クラブ#3 〜夏に読みたい絵本」で読んだ絵本
- 『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン作 / マーガレット・ブロイ・グレアム絵 / 森比左志訳 ペンギン社)
- 『お化けの海水浴』(川端誠 作・絵 BL出版)
- 『わにわにのおでかけ』(小風さち 作 / 山口マオ絵 福音館書店)
- 『ぐりとぐらのかいすいよく』(中川李枝子 作 / 山脇百合子 絵 福音館書店)
- 『ねずみとくじら』(ウィリアム・スタイグ 作・絵 評論社)
- 『なつのあさ』(谷内こうた 作・絵 至光社)
- 『なつのいちにち』(はたこうしろう 作 偕成社)
- 『みずたまレンズ』(今森光彦 作 福音館書店)
- 『めがねうさぎのうみぼうずがでる!』(せなけいこ 作・絵 福音館書店)
当日、話題にあがった絵本と一緒に、ブクログの本棚にまとめています。(それぞれのレビューは書いていません) 今回は、絵本に詳しい方が多かったこともあり、とにかくたくさんの絵本や詩の本、童話にも話が広がりました。絵本を起点に、これだけ話が広がるのって、面白い。
次回の「おとなの絵本クラブ」は8月下旬に開催予定
これまで、絵本が大好きな人が中心に来てくださっていたので、次回は「絵本はあまり好きじゃないんだけど……」って方にも楽しめる場にできるといいなぁと思っています。
ちなみに、8月は開催場所の「もえぎ家」にて、コケシ展開催中なので、コケシに絡めてやろうかどうしようかな〜と悩み中……。
詳細は改めてお知らせしま〜す。