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おとなの絵本クラブ

大人目線で楽しむ絵本や児童書の記録。調布市・つつじヶ丘の古民家「もえぎ家」を拠点に、絵本を読み合い、語り合う会を開催しています。

ほんとうに私はいい母親かしら。

更新が滞っているうちに、すっかり寒くなってしまいました。いつの間にか秋を通り越して、すでに冬のような寒さ。お布団にもぐりこんだ子ども達の手足の、まあ冷たいこと。

 

子ども達は、私が読む絵本を眺めながら、冷えた足を私の足の間に突っ込んでくる。その度に、ふっと自分の幼少期を思い出す今日この頃。寒くてたまらない時、母の首元に手のひらや甲を交互にあててみたり、母の太ももに足の裏をぴたっとくっつけては、自分の手足を温めていたっけ。

 

ぞっとするくらい冷たかっただろうに、母に嫌がられた記憶は一度もない。あったかかったなぁ…。今の私は、「もうっ冷たいよう!」と子ども達の手足をはらいのけてしまう時もあるのに、ね。

 

 

「母にもっと愛されていたかった…」

自分の家庭を築くまで、いや、子どもが生まれてしばらくは、そんなコンプレックスを抱えていた私。愛されて育ったという感覚はあまりなかった。でも、こうして幼少期のことを思い出してみると、たしかに愛されていたんだと思う。母は母なりの方法で、愛情表現をしてくれていたのだと、今は思える。

 

それなのに「私は愛されていないかも」と思っていたのは、大きくなってから自分自身で植え付けた思い込みなのかもしれない。「○○ちゃんのお母さんはこんなことしてくれてるのに」と思ったり、誰かの幼少期の話を聞いては「私もそんなふうに育ててほしかったな」と感じたり…。「あの人はこうなのに自分は…」と、誰かと「比べて」自分の幸せ度をはかるようになってしまった頃からだろうか。

 

冷たい手足を温めてくれる母といえば、思い出す絵本がひとつ。

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『手ぶくろを買いに』(新美南吉 作/ 黒井健 絵 偕成社

 

小狐が生まれて初めて目にする雪景色。「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする。」とうったえる小狐の手に、「はーっと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んで」やる母さん狐。日本語以外ではどうしたって表わしきれないだろうと思えるこのなんとも言えない表現も手伝い、母の温かさがひしひしと伝わってくる。

 

自分は、子ども達に接する時、こんなにも温かくいられているだろうか?

 

初めて見た世界への驚きや感動を素直に表す小狐。その姿に、自分の子どもを重ねる。真っ白な雪に反射する太陽の光を見て「眼に何か刺さった」とびっくりしてみたり、「まんまるな眼をぱちぱち」させてあたりを見回してみたり…そんな時期は、小さいうちだけ。それなのに、目の前の家事や、自分の人生のことに気を取られて、うっかりこの愛おしい瞬間を見落としてしまいそうになる自分にハッとする。そう、今だけ、今だけなのにね。

 

そんな温かさに欠けた自分に、「こんな母親でいいのかな」と悩んでしまうことがある。でもそういう時はだいたい、誰か他のお母さんと「比べて」いる時なんだと思う。「あの人はこんな風に子育てできているのに…」とかね。「いい母親」かどうかなんて、本当はないんだと思う。それはきっと、自分で決めているだけのこと。母なりの方法で愛してくれていたはずの母に、いつの間にか誰かと比べて「愛してくれなかった」と勝手に決めつけていたのと同じことなのかな。

 

母親にも、子どものことばかり考えていられない時もある。だって、この絵本に出てくる母狐も。「かあいい坊や」をたった一人で自分が「怖い」と思っている人間の世界へ送り出してしまうというツッコミどころもあるじゃないか。いい母親として描かれているようで、母親だってひとりの人間(一匹の狐か)であることを、あえて描いているのか? 母親だって完璧じゃないものね。

 

ああ、この愛おしい瞬間にちゃんと向き合えていなかったな。

そう気づいた時に、自分なりの方法で挽回すればいいのだ。きっと。昨日はだめだったけど、今日はしっかり向き合えたから、まぁいっか。そのくらいの気持ちでいたい。

 

 

ほんとうに私はいい母親かしら。

ついそんな思いに苛まれる時は、そう思うようにしよう。

私は、私なりの方法で愛情表現をするのだ。

 

 

 

さて、しばらく開催できていなかった「おとなの絵本クラブ」ですが、12月に復活!今回は、開催場所のもえぎ家の料理びと「HARAMIRAI」とのコラボ企画。「あったか〜くなる絵本」をテーマにした絵本を読み合ったあとに、「HARAMIRAI」のあったか〜くなるランチを一緒に囲みながらお話しましょ、という企画をぬくぬく温めています。

 

「手ぶくろを買いに」も、私の中で「あったか〜くなる絵本」のひとつ。 そのほかにも身も心もぬくぬくする絵本を持参します。もちろん、いつものごとくお気に入り絵本の持ち寄りも大歓迎。

 

日時は12/8(木) 10:00〜13:00頃を予定しています。
また詳細が決まりましたらお知らせします!