読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おとなの絵本クラブ

大人目線で楽しむ絵本や児童書の記録。調布市・つつじヶ丘の古民家「もえぎ家」を拠点に、絵本を読み合い、語り合う会を開催しています。

子どもの心をゆさぶる絵本探しの旅

「どうして一緒に絵本を読んでくれなくなっちゃったの?」

ここ最近、寝る前に息子にぼやく時間が多くなっていた。「もっともっと(読んで)!」とせがむ娘(3歳)に対し、隣で別の本に集中している息子(7歳)。うーん、家族バラバラな感じが、どうにも切ない…。

 

図書館で選ぶ絵本は、だいたい日本の昔話かどこかの国の民話。好みがハッキリしていて、絵本が大好きだった息子だが、小学校に上がってからは、ほとんど本に親しまなくなってしまった。学校の図書室から借りてくるのは、ちょっと俗っぽい感じの児童向け図書や、アニメ絵本のようなもの。ぶあつ〜い「藤子・F・不二雄大全集」シリーズも大好き。

 

もちろん本人が好きで選んでいるので、それ自体を否定するつもりはない。私だって漫画は好きだったし、藤子先生の漫画は実際に面白いし。でもやっぱり、あんなに絵本が大好きだったのに…もう少し読み物っぽいものを読んでほしいな…。そんな思いが消せずにいた。

 

幼年向けの児童文学作品を色々と借りてきては、「これどう?」と手渡してみたものの、あまりハマらず…。3歳の娘も、あまり長い読み物は飽きてしまうし、息子と「一緒に読む」ことは諦めろということなのかなぁ…。そんなことを思っていた時に出会った1冊。

きえた犬のえ―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)

きえた犬のえ―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)

 

11/17(木)に調布市立図書館主催の「 子どもの本に親しむ会」で講師を務められた小宮由さんが翻訳・編集された本のひとつして、展示されていた。

子どもの探偵ものか〜と、なんとなく借りて帰ったら、これが見事に息子にヒット。久しぶりに布団の中で一緒に読み、読み終わった後に「これ他のシリーズもないの?」と一言。「あ〜、そういえばあったよ。今度見に行ってみる?」と冷静に返しつつ、心の中でガッツポーズ。

次のお休みに、一緒に図書館へ。司書さんに「ぼくはめいたんてい」シリーズをずら〜っと並べてもらい、その中から気になるものを4冊選んで借りて帰ってきたのだった。(このシリーズ、今では17巻まで出ているらしい!)

 

おかげで、ここ数週間は、このシリーズを寝る前に一緒に読んでいる。それなりに長いお話で、挿絵も少ないけれど、3歳の娘も一緒に静かに聞いている。それだけで、寝る前のあんなに寂しかった心が、ほこほこする。

 

ただ寒くて同じ布団に入りたいだけかもしれないけどさ。
母ってものは、単純だ。

 

小さな男の子が、ちょっとした事件の謎を解決していく様子は、幼年向けとはいえ、大人でもなかなか面白い。 探偵らしく振舞いながらも、パンケーキが大好きだったり、ママに手紙を書いていたりと、子どもらしい一面が垣間見られる主人公の様も可愛い。主人公が子どもだから、自分でも探偵になれそうって思ってワクワクするのだろうか。

読みながら「え、なんでだろう?」「あ、わかった!」なんて、つい口から出てしまう。子どもと一緒に考える時間も楽しい。 

きょうりゅうのきって―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)

きょうりゅうのきって―ぼくはめいたんてい (ぼくはめいたんてい 新装版)

 

▲娘はこの巻が気に入ったらしい。何度も「かいじゅうのきって」と言い間違えては兄に突っ込まれてる…

 

 

 講演会当日、小宮さんのお話もとても良かったので、一部、引用させていただきます。

「絵本は、子どもがはじめて出会う文学。だから、すぐれたお話を選んでほしい。すぐれたお話とは、人の喜びを我が喜びとし、人の悲しみを、我が悲しみとするお話。そして、幸せとは何かを伝えるお話だと思っています」

「絵本は、ためになるのものではなく楽しむもの。だから、親が『楽しい』と思う本を選ぶことが一番です。大人が読んで価値がない、つまり面白くない、と思う本は、10歳の子どもにとっても価値はないのです」 

 

そうそう。せっかく読むからには、大人も子どもも一緒に楽しめて、幸せな気持ちになれる絵本がいい。私が「おとなの絵本クラブ」を開催するのも、根っこの思いはきっと同じ。「絵本って楽しい!」という思いを一緒に育める大人が増えれば、その子どもたちに伝わっていくはずだから。まずは大人が楽しんじゃおう。

 

それから、私のように「読んでほしいと思うものとは違う絵本を、子どもが選んでしまう」という参加者の方には、こんな風に答えられていました。

「大人だって、週刊誌とか読みたい時もあるでしょ?それもあっていい。いい絵本を大人が手渡してあげれば、帰る場所を知っているから、戻ってこれるから大丈夫」

本に限らず、子どもが触れるものについて、悩むことはこれからもたくさんあるだろう。そんな時にいつでも「帰る場所を知っているから大丈夫」と思っていたい。だからこれから先も、子どもたちの心をゆさぶる絵本探しの旅を、私はずっと続けていくんだと思う。なんて大げさかもしれないけれど。そのくらい、絵本の時間が好きみたい。

 

 

 

小宮由さんは、翻訳家・編集者でありながら、東京・阿佐ヶ谷で「このあの文庫」という家庭文庫を開かれている方。「『この』よろこびを『あの』こに」という思いが込められた文庫のネーミングも素敵。友人が以前に「このあの文庫」に取材に行った時、並んだ本棚の美しさに感動したとか。「手に取りやすいように本を置いてある」こと、家庭でも大事なことなんだろうな。「いつでも帰っておいでね」ってな具合に、ね。

その魅力を垣間見たい方は、友人が書いた小宮さんへのインタビュー記事も是非!

nobirunobiru.com

 

小宮さんのように家庭文庫を開くことは、ちょっとした夢。子どもたちに本を手渡せる人の手は、たくさんあるといいなと思う。とはいえ、絵本絶賛満喫中の人たちが家にいるし、まだまだ先かな〜。